デジタル人材とは【第4回/全5回】
全5回に分けて「DX」をテーマとした記事を公開していきます。
第4回となる今回は「デジタル人材ってどういう人材?」という方に向けた記事となっています。
前回の記事は以下よりご覧ください。
デジタル人材とは、デジタル技術やシステムを活用した業務を遂行するためのスキルを持つ人材のことを指します。
具体的スキルとして、プログラミング、ネットワーク技術、クラウド技術、AI・機械学習、データ分析・見える化、セキュリティ技術など、様々なデジタル技術や知識が求められます。
また、デジタル人材は、これらの技術と知識を活用して、ビジネスやサービスのDXを進める役割も担います。
デジタル技術の進化により、デジタル人材の需要はますます高まっています。
本記事では、デジタル人材の重要性と、デジタル人材に求められる要素、デジタル人材育成のための取り組みをご紹介します。
目次 ➖
デジタル人材の必要性
現代社会では、デジタル技術やシステムが広く普及しています。特に、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって、デジタル技術やシステムの導入の重要性が一層高まりました。
多くの企業や組織が、テレワークやオンライン会議、オンラインショップなど、デジタル技術を活用した業務を実施するようになりました。
このような状況下で、デジタル人材はより存在感を増しています。
デジタル人材が必要な理由として以下の4つが挙げられます。
1.DXの推進
2.データ駆動型の経営
3.新しいビジネスモデルの開発
4.セキュリティ対策の強化
1.DXの推進
ビジネスやサービスのDX化は、現代社会において必要不可欠な取り組みです。
DX化には、デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルやサービスの開発、生産性の向上、コスト削減などが含まれます。
デジタル人材は、これらの取り組みを推進するために必要なスキルや知識を持っています。
2.データ駆動型の経営
DX化において、データの分析とその見える化は欠かせません。
デジタル人材は、大量のデータを分析することで、ビジネス上の課題を洗い出し、適切な施策を提案するスキルを持っています。
3.新しいビジネスモデルの開発
デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルの開発をするためには、デジタル人材が欠かせません。
例えば、IoTやAIを活用した製品やサービス、ブロックチェーン※1を活用したビジネスモデルなどが挙げられます。
デジタル人材は、これらの技術やアプリケーションに精通しており、新しいビジネスモデルの開発に貢献することができます。
※1 ブロックチェーン:電子署名等を用いた改ざん検出が容易なデータ構造を持ち、取引データを一か所で管理、保持するのではなく、取引の参加者(ノード)がそれぞれデータを保持していることで、不正や改ざんを防ぎ、公正で信用できる取引記録を残し続けることができるシステムのこと。
仮想通貨の取引などで用いられ、今後、より社会に浸透していくとされています。
4.セキュリティ対策の強化
デジタル技術を活用した業務は、常にセキュリティリスクを伴います。
具体的には、ウイルスを用いたネットワーク攻撃やサイバー攻撃などが挙げられます。
デジタル人材は、セキュリティ技術に精通しており、セキュリティ対策の強化に貢献することができます。
デジタル人材に求められる要素
近年、存在感を増してきているデジタル人材に求められる主な要素は以下の5つです。
プログラミングやデータ分析などのスキル
コミュニケーション能力
問題解決能力
自己研鑽のための情報収集能力
安全性に対する意識
1.プログラミングやデータ分析などのスキル
まず第一にデジタル人材に求められる要素として、プログラミングやデータ分析などの技術的なスキルが挙げられます。
デジタル技術やシステムを活用した業務を遂行するためには技術的なスキルは最低条件となります。
具体的スキルとして、プログラミングやデータ分析・見える化をはじめとして、ネットワーク技術、クラウド技術、AI・機械学習、セキュリティ技術など、様々なデジタル技術や知識を持っていることがデジタル人材には求められます。
2.コミュニケーション能力
また、デジタル人材は、単に技術的なスキルだけでなく、コミュニケーション能力も必要とされます。
企業でデジタル技術を活用したプロジェクトは、複数の部署やチームが関わることが多く、コミュニケーション能力が不足しているとプロジェクトの進行に支障をきたすことがあります。
そのため、様々な人と関わるためのコミュニケーション能力が重要となります。
3.問題解決能力
プロジェクトの進行に支障をきたすような問題が生じた際には、迅速な問題解決が求められます。
なぜなら、プロジェクトが進行しないということは企業活動に大きな影響を及ぼすためです。
迅速に問題を解決するためには課題発見、原因追及、課題解決を行う必要があります。
そのため、それらを行うのに必要な問題解決能力もデジタル人材にとって重要な要素となります。
4.自己研鑽のための情報収集能力
デジタル人材は、常に最新の技術動向に敏感であることが求められます。
なぜなら、新しい技術やツールは続々と開発され、市場に登場していて、環境の変化がとても素早いためです。
最新の技術動向についていけないということは、環境の変化に取り残され企業競争力の低下を招く恐れがあります。
企業競争力の低下を防ぐためにも、デジタル人材には、最新の技術動向に合わせて自らのスキルや知識を更新し続けることが求められます。
そのため、自己研鑽のための情報収集能力が必要とされます。
5.安全性に対する意識
最後に、デジタル人材は、安全性に対する意識を持っていることも求められます。
企業や組織は、情報セキュリティに対する脅威に常にさらされており、その対策は重要な課題となっています。
デジタル人材は、セキュリティに関する知識やスキルを持ち、情報漏えいやサイバー攻撃などから企業や組織を守ることが求められます。
デジタル人材育成のための取り組み
デジタル人材は、今後ますます需要が高まっていくことが予想されます。
しかし、経済産業省が実施した「IT人材需給に関する調査」によると、2030年にはIT人材が最大78.7万人不足するという予測が立てられています。
つまり、今後DX化に必要なIT人材の確保がますます難しくなります。
そこで、将来の人材不足に備え、今のうちからデジタル人材の育成が求められています。
具体的には、以下の3つの取り組みが行われています。
1.教育・研修の充実
2.留学制度の拡充
3.企業内での育成プログラムの導入
1.教育・研修の充実
デジタル人材を育成するためには、教育・研修の充実が必要です。
例えば、プログラミングやデータ分析などの技術的なスキルについては様々な企業が受講者のレベルに応じた教育コースの提供を行なっています。
また、コミュニケーション能力や意識改革などは、企業内での研修やセミナーなどで向上させることが可能です。
2.留学制度の拡充
海外での留学は、デジタル人材の育成に有効です。
なぜなら、海外のデジタル技術は日本より先進的なものであるためです。
スイスのIMD世界競争力センターが2022年9月28日に発表した「世界デジタル競争力ランキング 2022」によると、の日本のデジタル競争力は63か国中29位となっており、2021年の同様のランキングより順位を1つ落としています。
つまり、日本はデジタル競争力が他の国と比較して年々弱まっているということです。
そこで、より競争力の高い海外へ留学することによって、海外の先進的なデジタル技術やビジネスモデルを学ぶことが重要となります。
そのため、企業の留学制度の拡充が求められています。
3.企業内での育成プログラムの導入
企業内での育成プログラムを導入することで、社員のデジタルスキルの向上を促進することができます。
例えば、OJTのような形で、実際に社内のプロジェクトに参加することで、新しい技術やアプリケーションに触れ、デジタルスキルの向上を図るといった取り組みがあります。
この時、始めは小さなプロジェクトから参加させていくのがデジタル人材の育成において重要となります。
まとめ
以上のように、デジタル人材には、技術的なスキルだけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力、自己研鑽能力、セキュリティ対策の知識やスキルなど、多岐にわたる能力が求められます。
今後ますますデジタル技術は進化していくことは確実です。そのためデジタル人材は、ますます重要な存在となるでしょう。
ですから、企業や教育機関も、企業競争力を維持、向上させるためにデジタル人材の育成に積極的に取り組む必要があります。
企業や教育機関は、デジタル人材の育成に積極的に取り組むことで、デジタル技術を活用したビジネスやサービスの創造に貢献していくことが求められているのです。
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